3つの国の企業で働いてわかったこと(2)

3つの国の企業で働いてわかったこと 16375559754_f981842d43_z 著者の上野さんはきっと昔の同僚だという投稿でしたが、 驚いたことに当の本人が私の投稿をたまたま見つけてくれてコメントをくれました。 その後メールで直接やりとりしましたが、あの頃と変わらない口調というか文面で、 お互いに懐かしく当時のことを思い出しました。 いくつもの大きな企業の舵取りを経験したにもかかわらず、彼はやっぱり彼でした。 あの頃、 就職したてでまだ学生気分が抜けきれない中、ワイワイ騒ぐ私達の少しうしろで、 笑いながら冷静に的を射た言葉をかけるといったイメージの彼。 体調を壊してPSA日本法人の社長は辞任したということですが、 今はもうほぼ回復し、次に何をやらかそうかと思案中とのこと。今後に期待します。 せっかくなので文中から彼が紹介してくれた面白いエピソードをご紹介します。 大川功さんのこと  「セガ」の会長であった大川さんは自身の努力で巨額の資産を手にしたけれど、  その課程での苦労の多くが税金としてただ事務的に徴収されることに納得できない  でいたようです。  苦労して得た報酬の約40%は税金として納付させられ、その対価としての恩恵が  実感できないどころか無駄に消えていく実態が散見される現状に全く釈然としない  私自身の心の叫びを明解な言葉で代弁しています。   「事業で危機に瀬しても行政からなんの支援も得られずに、  利益を出すと多額の税金を課され、  せっかく貯えた財産には死ねば高額な相続税が課せられる。  そうして払った税金は何に使われたかもわからずに消えてしまう。  阿呆らしいで。」  というわけで大川さんは、その資産を有望と思われるベンチャー企業に駄目元で  投資をするようになったのだが、そうしたベンチャー企業がまた成功をして  大川さんの資産は減るどころかますます増えてしまったのだという。 本田宗一郎さんのこと  当時から国の財政状況の悪化は大きな問題になっていて、財政改革のための  緊縮財政について国民の理解を求めるために、そのシンボル的存在として  知名度と説得力のある人として本田宗一郎が推されました。  本田宗一郎は「政府の提灯持ちはしないが」という注文をつけた上でこの  活動に参加。  それが「行革推進全国フォーラム」でした。  上野さんがホンダ入社後の販売実習中に参加した熊本市で行われた行革  フォーラムでの講演後、質疑応答の一幕です。  30代半ばから40代くらいのひとりの男が、マイクを手に立ち上がると、  何やら興奮した面持ちで、聴衆席の階段を演壇に歩み寄りながら、  質問というよりも、本田宗一郎に向かって訴えかけた。  自分は天草で百姓をしながら暮らしているのですが、今日は本田先生が熊本に  お見えになるというので、ぜひともお話を聞きたいと思い、朝早くに家を出て  きました。自分は一家を養うために朝から晩まで働き詰めで、百姓のほかにも  アルバイトもして、それでも暮らしは楽にならず、苦しいことばかりです。  年老いた父と母と、そして子供たちを養っていかなければならないのに、  働いても働いても、楽になるどころか生活は苦しくなるばかりで、この先  どうしていいかわからず、それでも我慢といわれると・・・と、男はマイクを  持って語るうちに嗚咽をもらした。  そして涙声で「本田先生、私はどぎゃんしたらよかとでしょうか」と訴え  問いかけるのである。  (中略)  すると本田宗一郎が立ち上がって演壇のマイクに向かったのだが、驚いたことに  その顔はくしゃくしゃで、目には涙が溢れていた。  そうして感極まった声で男に語りかけた。  「大変なご苦労をされて、さぞや辛いことでしょう。それでも頑張っておられる。  わたしもさんざん苦労しました」  そして、涙をはらはらと流しながら、  辛いのはよくわかる、よく頑張っておられる、  わたしも頑張った。みんな頑張るしかない、ということを身体から振り絞るような  声で言うのである。その内容には論理的な展開などなく再現できないのだが、  本田宗一郎の涙交じりの語りかけには、どういう訳か人の心を強く打つ響と、  共感を誘う力があった。  会場の聴衆者のなかには啜り泣きをする人もあった。  マイクを持った男は泣きながら丁寧に本田宗一郎に礼を言い、  それで質疑応答は終了した。 大川さんと本田宗一郎さん。 こんなに正直で一生懸命で謙虚な経営者が今どれほど居るでしょうか。 こんなに純粋で男らしい経営者がいらっしゃるでしょうか。 業績の拡大や目先の利益確保だけに奔走する薄っぺらい経営者のいかに多いことか。 「たくさんの利益を得てより多くの税金を納めることが当社の責務です」 などと言う、どこぞのスーパー大企業の社長さん。 きっと本気なのでしょうがあまりの幼稚さに呆れてしまいます。 上野さんがこの本で伝えようとした事とはいくらかズレているとは思いますが、 いろんな人たちの人となりが書かれていて本当に面白い本だなと思いました。 上野さん、ありがとう。 「本田宗一郎が怒っている」という30年以上前の動画です。 国に対して単純明快に正々堂々と注文をつけている姿に共感します。 https://www.youtube.com/watch?v=rcjgqakmg3M&list=WL&index=4]]>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする